「CORRESPONDENCE / LANDSCAPE —起伏ある風景へ— 」
2019年6月15日(土) - 7月6日(土)
(工房親 主宰 馬場隆子)
「起伏ある風景へ–like a mountain」
2016年 岩手県立美術館(盛岡)
ミラーマット(発泡ポリエチレン)・パイプ他
いわねスタジオ撮影
“起伏のある連なり”への意識はかなり前から私のなかにはあったように考える。しかし“風景”を漂白しながら“風景”のその先につづく連なり(連鎖)をつよく感じるようになったのはあの3.11以降かもしれない。私のように海から遠い地に生きるものにとって無力さとともに山で感じたその感覚は、「自然」というダイナミズムを貫く海までもつづく自然の胎動そのものなのかもしれない。今作品はインスタレーションとして会場内に起伏のある山のような存在を出現させることを考えている。頂は決して手を差し伸べても届かない。足元の不安定さは遠い身体の記憶を結ぶ。そして今日も山は静かであろう。
(長谷川 誠)
風景展によせて
古代より、この世界を構成するのは4つの元素であるという概念があった。火・空気・水・土である。さらにそれらは相互転化するとも考えられた。雪はそれらの複合による現象だった。時代の移り変わりにより変化はあったが、20世紀にはガストン・バシュラールらにより想像力や無意識による人間の創造性が説かれた。創造との深い関わりだ。そして詩歌等に人が感受した世界が詠われ伝授された。風景という概念もその一つだ。その中でも雪景色は多くの表現者のインスピレーションを育てた。
ここに雪景色がある。闇と同じく、すべての喧騒や雑多な色彩を封じ込める。闇が光の訪れを辛抱強く待つのと同じく、深い雪景色は春の訪れを寡黙に待っている。静寂な沈黙の場だ。多くのエネルギーを内包した静謐な姿だ。長谷川誠はその雪景色と全く同質な作家だ。自身の豊かなエネルギーを内包しつつも静かにその世界を語っている。そして、取り憑かれたかのごとく雪の白を追求する。
今回の展示は長谷川の原風景と言える白のインスタレーション。会場の静寂な白の場を目の前にして、見るものは目に見えぬ豊かなイメージや色彩を感受することになり、生理的に高められる時間を実感する。
(アートディレクター クボタタケオ)
(岩手県立美術館 主任学芸員 濱淵真弓)
【略歴】
長谷川誠 (Hasegawa Makoto)
秋田県秋田市生まれ 盛岡市在住
2018年 個展「辿りつかない峰」晴山倉庫Fine Arts(花巻)
「絵画を考える 時を描く−絵画表現での時間性−」工房親
「さまざまな形、さまざまな色」工房親(東京)
2017年 個展「凍土」Cygアートギャラリー(盛岡)
2016年 「CONTRAST-長谷川誠・小林晴郎」工房親(東京)
「2016年のIMA」岩手県立美術館(盛岡)
2015年 個展「起伏ある風景へ」ギャラリー彩園子I、II(盛岡)
2014年 個展「森のしずく」晴山倉庫fine Arts(花巻)
アート@つちざわ コンペ部門(花巻)
作品所蔵:岩手県立美術館、萬鉄五郎記念美術館、岩手町立石神の丘美術館、諄子美術館ほか
●個展「辿りつかない峰」晴山倉庫Fine Arts(花巻)2018年
「辿りつかない峰」
ミラーマット(発泡ポリエチレン)・白ボール紙・パイプ他
●グループ展「さまざまな形、さまざまな色」工房親 (東京) 2018年
「遠い空-07」
ジェッソ、スタイラス、木 27×38×3.3cm ( 2018 )
*スタイラスとは、画面に塗布したジェッソを、乾燥後、自作のニードルでなぞることによる摩擦によってグレーの描線で描く作家の独自の手法を呼称するのに用いている。
▼展覧会概要
展覧会名 CORRESPONDENCE / LANDSCAPE —起伏ある風景へ—
会期 2019年6月15日(土) - 7月6日(土)
▼オープニング・トーク
作家によるトーク ( 無料、事前予約不要 )
6月15日(土) 15:00 - 15:40
オープニング ( どなた様でもご参加頂けます。)
6月15日(土) 16:00 - 18:00
開廊 水 - 日 12:00 - 19:00
(日曜は18時まで。展示最終日は17:00まで。)
休廊 月・火・第1水曜日(7/3)
会場 工房親
〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿 2-21-3
TEL / FAX 03-3449-9271
交通 地下鉄日比谷線「広尾駅」2番出口 徒歩6分
JR山手線「恵比寿駅」西口 徒歩15分
渋谷より都バス06 新橋行・赤羽橋行「広尾5丁目」下車
Website https://www.kobochika.com