2020年、工房 “親” は皆様のお力添えあって、設立30周年を迎えました。
ここまで、支えて下さいました皆様に感謝申し上げます。
本ページでは、1年を通してシリーズ企画の紹介や30周年の振り返りと今後について随時更新いたします。
工房 “親” 1990年設立
工房“親”は、1990年にキャリアも何も無い、言ってみれば、ズブの素人の私(馬場)が興した。画廊というよりプロジェクトであった。ただそこには、アートへの強い想いと怒りがあった。
従って、ギャラリーとか画商という看板は、掲げず、アーティストと共に創作したり、実験していくという意味を込めて「工房 "親"」と名付けた。ただ、「工房」という名前から、何か物を実際に作っている「工房」と間違われる方もいらっしゃったので、便宜上「Gallery 工房 親」と記載することもあるが、正式名称は「工房 "親"」である。
今でも、私は画商・画商のプロだと、思っていない。
素人だからこそ出来る事を玄人の精神やレベルでやって行きたいと考えている。
こういう世の中で、一つぐらい、こういう場所があっても、と思ってくださる方々の期待に応えて行けたら、と思います。
2020年、令和も2年目。工房 "親" 30周年、そして、31年目のスタートで時代が変わっていくなか、初心を忘れずに独自の歩みを続けていきたいと考えています。
どうぞ、この1年も工房チカを見守り、応援ください。
工房“親” 主宰 馬場隆子
シリーズ企画
1月開催 2014年から開催
「春韻」
年明けにふさわしい企画展として、女性の平面作品をグループ展で紹介したいと、春韻という造語をタイトルにしてスタートした展覧会も、2014年から毎年開催し、今年で7回目を迎える。
1990年に、工房 親 を設立して、1991年4月に初の企画展を開催した。
当時は、バブル景気のなごりがあり、その後バブルがはじけた。
更に、ミレニアムを迎え、社会や世界の環境はさまざまな分野で急速に変わった。
もちろん、現在の社会、世界と、その先を見据える現代アートも、大きな影響を受けて、スピードアップして進化した。
そのような移り変わりの中で、工房親の企画展示の在り方を考えた。
広いスペースや大きな仕掛け費用が不可欠で、メディア対応も強くアピールしなければならない展示は、チカには厳しい。
そういう中で、チカらしい展示は何か?
チカらしさは、大きなものでなくても、見た人が気持ち良くなったり、心が開かれたり、何かを気づかせて、きっかけを作るようなもの、作家が真摯に向き合って制作したものを丁寧に展示することと思った。
春は誰にも、待ち通しい希望の未来を思いおこす。
韻は音から来ている。
正月も、昔と比べて、非常に変わった。
しかし、今でも年が明けると、人は気持ちが良く、めでたさを思う。
そんな人々が願う希望やめでたさを6人の女性に制作してもらい丁寧に展示する。
それが春韻展です。
年齢も手法もそれぞれ違う6人の女性の作品は、違いがあっても、美しいハーモニーを醸し出す。
是非、ご来場いただき、ゆっくり鑑賞して頂き、清々しい気分になってください。
2020年「春韻」展の情報はコチラ
シリーズ企画
2月開催
「恵比寿映像祭」
2020年の恵比寿映像祭は「時間を想像する」がテーマ。
工房チカは、30周年記念として、宇田川直寛、横田大輔のユニット「二人」で「二人のショー」を開催している。
恵比寿映像祭の地域連携プログラムの参加も、初回からお声描け頂き、今年で7回目を迎える。
長く参加させて頂いているのも、この地域で30周年を迎えた古参だからであると思う。
この間、写真の技術は、めざましく進化した。
フィルムからデジタルが、主流となり、スマートフォンは、急速に広がり、そのカメラ機能は、素晴らしく、誰もがスマートフォンで撮影するようになった。
工房 親 が、20年以上続けている映像の展示も、最初の頃は、デジタルプリントが、珍しくて、話題になっていた事が昔の懐かしい思い出だ。
3年前から、写真のスペシャリストでもある深川雅文氏(キュレーター/クリティック)とタッグを組み、より斬新で、ワクワクする展示をお見せ出来るようになった。
2020年「二人のショー」の情報はコチラ
シリーズ企画
「CORRESPONDENCE / LANDSCAPE」(風景との応答展)
since1996
この展覧会は、工房チカのシリーズ企画展示の中でも2番目に古い歴史がある。
1996年に美術家のクボタタケオ氏と初めてタッグを組んでスタートした。
当時、これからの美術界では、映像が大きな意味や発展がある、とのことを考えて、画家から映像に興味を持ち、写真や映像作品を数多く制作してきた美術家のクボタさんに、映像を中心とした企画展示のディレクターを依頼した。
従って、最初の頃は所謂レンズを通した作品を中心に企画していた。
だが、この20年間で映像の世界は、大きな変化、発展をしチカの映像展も変わってきた。
企画展初期の展覧会では、まだまだコンピューターが珍しく、コンピューターで画像をチカの壁一面に引き伸ばした作品は多いに話題となった。
折しも、東京都で初めて写真専門の東京都写真美術館が恵比寿に出来ていた。
そのころは、今の美術館は以前の仮の建物で規模も小さかった。
数年後、恵比寿ビール工場跡地に出来た恵比寿ガーデンプレイスは、その後次々と立ち現れた六本木ヒルズや他の再開発事業の先駆けで、当時、本当に大きな話題になっていた。
写真美術館はその新しいガーデンプレイス内に移った。(東京都写真美術館、1995年総合開館)
それもその後の六本木や日本橋の先駆けだったと思う。恵比寿の町は、それ以後、急におしゃれでグルメな町の一つに挙げられるようになった。
ここ10数年以上、写真映像の町を目指して、写真美術館は、恵比寿映像祭を開催している。(2008年~)
2008年からスタートした恵比寿映像祭は途中から、地域の画廊やスタジオにも声をかけて、地域連携プログラムを立ち上げ恵比寿を映像の町として盛り上げてきた。
今や、当時少なかった写真や映像を紹介するギャラリーやスタジオも増えた。
工房 親も、「風景との応答」展の企画以来、1年に2割から3割近くの映像展示をしている。
その工房 親 の「風景との応答展」展も最近は大きく変化してきた。
すなわち、レンズを通して制作した風景に限らなくなり、また風景という意味の解釈も広がってきた。
今年はチカ30周年記念として、若手作家「石井絵里子」のインスタレーションを展示予定していたが、コロナウイルス感染のために1年後に延期した。
設立以来の30年中には、地下鉄のサリン事件が起きて、工房チカの最寄り駅が地下鉄日比谷線で、霞が関は近いので、その時にチカで展示セッティングしていた映像作家の地方にいらしたお母様が心配して、画廊に電話をかけてこられた。
NYのワールドセンター爆破テロ事件の時も、チカに展示のために集まっていた作家達が、まるでフィクションの映像シーンを見ているようだと、興奮しながら語っていた。
2011年の東北東関東大震災の時も、私はチカにいた。
今年は、新型コロナウイルスのパンデミックと、工房チカ設立して30年の間には、様々なとてつもない想定外の大事件があった。
それらを乗り越え新たな企画を立ててきた。
これからは良い事がたくさん起きてほしいが、そうばかりではない辛い悲しい事にもあると思う。
しかし、映像展示を続けて新しい記録を残していけたら、と気を引き締めている。
とりあえず2021年の風景はどのようになるか、期待して見守って頂きたい。
シリーズ企画
「絵画を考える」since 2010
この展示は、シリーズを通じて、絵画の可能性や多様性を様々な角度から、わかりやすく作家の作品の制作を通して考察してきた。
難しい理論や美学の見地からではなく、絵画の基本的なことを掘り下げてきた。
サイズや色や指示体などハードな面から始めて、少しずつソフトの面などをテーマにしてきた。
2010年より毎年開催し、これまでのテーマは・・・
「サイズ」(2010)「支持体」(2011)、…、「KO・DA・WA・RI」(2017)、「時を描く」(2018)「音を描く」(2019)等
2020年のテーマは「水を描く」です。
工房チカのシリーズ企画「絵画を考える」は、11回目を迎えました。
参加作家は 一条美由紀 大渕花波 鈴木敦子 中西寿美江 中村索 野津晋也 和田みつひと
の7名(あいうえお順)
水という誰もが毎日世話になる身近で必要不可欠な大切なものを題材に、7名の作家達はそれぞれアプローチを考えアイデアを膨らませ制作した。
今回のテーマの水はくしくも、かのモナリザの作者レオナルド ダビンチが、全ての原点として水を観察し続けた、と聞く。
今年はコロナウイルス感染の対策で、オープニングやイベントは開催しませんが、換気、3蜜、消毒に気を配ってお待ちしています。
工房チカ30周年の年に withcolonaになったのもある意味記念的?と、捉えて前向きに開催しようと、頑張ってきた。 是非ご高覧ください。
2020年「絵画を考える」の情報はコチラ
シリーズ企画
「さまざまな形、さまざまな色」since1990
「さまざな形、さまざな色」展は、工房 親 CHIKA のシリーズ企画展の中でも最も長い歴史ある展覧会です。
更に言うなら、工房チカの姿勢や性格を表している展覧会とも言える。
1991年の12月前後にスタートしたこの展覧会は、今年まさに、30回を迎える。
最初の頃は、ジョアイユ ノエルのタイトルでした。
1年の感謝を込めて、世界でも最も親しまれているクリスマスを沢山の人々と慶びあって、素敵な新年を迎えたいという願いを込めて企画した。
いわゆるジャンルを超えて、沢山の作家に参加してもらい、様々な形や様々な色の作品を紹介してきた。
タイトルは数回変わり現在のさまざまな形、さまざまな色に至っている。
この展示がスタートしたころは、バブル景気時代の名残りで、このような多様なグループ展は、ほとんどなかった。
しかし、今や不況となればグループ展を開催し、暮れともなると小作品の展示のオンパレード。
また美術館のミュージアムショップは大勢の人たちで溢れている。
30回して行く間に、そのような状況に鼻白む思いもした。
しかし、この展覧会はやはり、工房チカの特徴溢れる展覧会なので続けている。
他の展示と大きく違うのは、今や現代美術展示では、ほぼ当たり前の個々の作品にキャプションを付けない。
作品を主体にオプションで小作品を展示して、作家の別面を見せる。
そして100点以上を超える作品で、美術家のクボタさんが指揮して、一つの美しいハーモニーを醸し出す展覧会に仕立てている。
それこそが私がこの展覧会を、工房チカのオーケストラの「第9」と呼ぶ所以である。
2020年「さまざまな形、さまざまな色」の情報はコチラ
【2020年企画展延期情報】
2020年に開催を予定していたいくつかの展覧会は、新型コロナ感染拡大予防の観点から延期にいたしました。
以下に延期情報を記載いたします。
LOOP ホスピタル・アート・ライフ
2021年4月予定(予定)
田嵜裕季子 橋本佐枝子 松下誠子 宮森敬子
架菜梨案 個展
2021年5月予定(予定)
CORRESPONDENCE / LANDSCAPE
2021年7月予定(予定)
石井絵里子
仁木智之 個展
2021年10月末~11月(予定)
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